アットマークエレ:プリント基板制作に関する技術アイデアまとめ

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終端抵抗にみるレイアウト設計のコツ

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部品配置の検討では、終端抵抗のレイアウトが勘所です。終端抵抗はバイパスコンデンサと並んで回路の性能を左右する重要な部品です。部品配置がある程度進んだ段階では、配線密度の確認はもちろん、配置や配線に関するさまざまな制約条件を満たしているかどうか、検討を繰り返します。

終端抵抗の配置

 終端抵抗のレイアウト設計は、回路の性能を決定します。さらに終端抵抗のレイアウトでは、設計者の回路設計への理解度が試されます(図1)。前回紹介したバイパスコンデンサと同様です。

01_この抵抗は終端抵抗なのか違うのか 図1. この抵抗は終端抵抗なのか違うのか

 終端抵抗には、直列終端と並列終端の2種類があり、それぞれ挿入位置が異なります。直列終端はドライバの直後に挿入します。それに対して並列終端はレシーバのさらに後ろに置きます。

 ドライバと直列終端抵抗の間の配線をできるだけ短くする必要があります。この配線の長さが信号の立ち上がり、立ち下がり時間と関連するからです。

 多くの回路設計では、ドライバと直列終端抵抗の間の配線長さを配線制約条件として設定しています。きちんと制約条件として設定されていれば、問題は少ないのですがそうではないこともあります。使用する回路入力システムとCADシステムの連携が悪かったり、回路設計者が手間を省いたりすると、「終端抵抗とドライバとの配線は1cm以内にすること」などと、回路図に指示が書いてあるだけといった場合です(図2左)。こうした際にはレイアウト設計者が自分で制約条件を設定しなければなりません。レイアウト設計者にはドライバ、レシーバを回路図から読み取ることが要求されるのです。

02_制約条件の抽象的な指示の例 図2. 制約条件の抽象的な指示の例

集積部品は自由度が高い

 終端抵抗には個別のチップ抵抗が使われる場合と、幾つかの抵抗が1つのパッケージに集積されている集積抵抗が使われる場合があります。

 終端回路にSIPやDIP形状の集積抵抗を使用しているときには、レイアウト設計で実際に部品配置をすると、複雑な配線ねじれが生じてしまいます。

 終端抵抗などに使う集積抵抗は1つのパッケージに同じ特性の複数の抵抗が集積されているため、パッケージ内のどの抵抗回路を使っても違いはありません。そこで、あらかじめどの回路を使っても良いと設定されている部品に対しては、レイアウト設計側で都合の良いように、部品内や複数の同一部品間で、回路を自由に入れ替えて設計します(図2右)。

 集積抵抗だけではなく、バッファやゲートなど、ICや他の部品でもピンや回路を入れ替えて回路に変化がないような場合に有効な手法です(図3)。

 今回のようにレイアウト設計で部品番号やピン番号を決定したり、変更した場合には、バックアノテーション機能を使って、回路図をレイアウトに合わせて書き換えておきます。

03_集合抵抗やICでは配置に合わせてピンを最適化できる 図3. 集合抵抗やICでは配置に合わせてピンを最適化できる

部品配置の確認

 部品配置がある程度まで進んだ時点で、もう一度、部品配置を検討しましょう。

 設計は、いくら検討しても検討しすぎることはありません。そのつど検討して、不具合が見つかったら、その時点で設計を直します。検討が遅れ、設計が進んだ段階で不具合が出たとしましょう。大規模な手直しが必要になった場合には、時間と手間が掛かるばかりではなく、最終的な設計の品質が悪くなる可能性が高まります。

 自動配線機能を備えたCADでは、配線工数の見積りのために、仮の自動配線を実行し確認することが可能です。配線設計の容易さや必要配線層数の確認ができます。

 このような機能を使った結果、基板の一部に部品や配線が密集していた場合、特にその部分のためだけに配線層数を増やすことが必要なときは、配置を手直しすることも考慮します。配線や部品パッドの密集度が低い部分では、部品の配置間隔を密集させ、配線や部品パッドが密集している位置では、部品の配置間隔を広げるなどの方法をとることもあります。

 信号配線やバス配線が制約条件に従って配線可能かどうかという検討が、配置設計では重要です。配線の制約条件の主なものとしては、配線長さ制限や最大配線長制限、同一配線長設定、並行配線指定、配線層指定などがあります。部品配置に基づき、制約条件の付いた信号の配線を検討します。その際、引き回し経路を考慮します。

マンハッタン距離を考える

 マンハッタン距離は配線長さを垂直方向の距離と水平方向の距離に分解して、その両方を加えた長さです(図4)。実際には長い斜め45度配線や任意角度配線を施せば、これよりも短い配線が実現できますし、逆に配線の交差などで、回り込み配線をしなければならない場合もあります。

04_マンハッタン距離とは 図4. マンハッタン距離とは

 そこで、制約条件のある信号を実際に仮配線してみて、おおよその配線長さが制約条件に合致するかどうかを調べます(図5)。等長配線をするバスについてもバス内で最長と思われる信号と、最短と思われる信号を仮配線して、どの程度、配線長が違い、冗長配線が発生するかを見積り、冗長配線のための配線領域をおおよそ確保します。

05_配線の制約は配置の重要条件 図5. 配線の制約は配置の重要条件

 この後あらためて、未配置部品がないかどうか、部品高さ制限や部品配置可能領域など部品配置の制約条件違反がないかなどを確認するために、部品配置確認レポートを出力します(図6)。ここでは、部品の配置層についても、配置層指示に従っているか、同じ部品でも部品面実装とはんだ面実装で形状が違う場合、配置層に従って正しい部品が使われているか、などをチェックします。

06_未配置部品を確認する 図6. 未配置部品を確認する

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実践プリント配線板設計 本記事は、「Allegroで学ぶ実践プリント配線板設計」(発行元:株式会社ジー・ビー)から一部転載しています。